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革を扱うときの道具の話

先日近所の方の依頼でお財布の修理を致しましたが、その時は作るり上げることに夢中で、その過程で使用する道具など、おもしろいものがあったにもかかわらず、撮影にまで至りませんでした。

気になっていたのと、来週スキルアップレッスンでお越しになる講師資格の生徒さんに革の扱いに関しての実施レッスン開催のため、少し簡単な作業方法を見て頂きたいと思っています。

革はミシンでももちろん縫えますが、その際にはどうしても革漉きが必要です。中表にして突き合わせて縫う端が薄くなるよう漉いて縫います。

よくカルトナージュで革を使用する際、とても薄く漉いた革をボンドで貼る方法があるようですが、革は全体的に薄く漉いてしまったら、もう耐久性はありません。ボンドでしなやかさも奪われてしまいます。そして丈夫なはずの革の良さも失われてしまうのです。

昔は革漉機械を持っていましたが、ベルト職人さんに差し上げてしまったので今はもっぱら手漉きか、プロの漉き屋さんに持参して依頼します。

チョットした作業は手漉きでも練習をすれば何とか上手にできます。

その時に必要なのが革包丁。ショップで扱っています。
本格的なものは研ぎが難しいので、素人でしたらカッター会社が作っている替え刃付きのこれで十分長く使えます。

革包丁

漉く際にはガラス板の上で行うので、専用のガラスも必要です。
厚みがあるタンニン鞣しの革を少し漉いてみます。

道具


表皮の表側のことをギンと呼びます。このギンは人間でいう皮膚なのでこれがなくなってしまうと息もできないし、強度もなくなってしまいます。この表側が傷がつかないように包丁で裏側のトコをやさしく漉いていきます。

革漉き

すごく安い革にはこのギンがなくてトコに樹脂を塗って販売していることが多々あります。


仕上がりの革の断面はこのような感じ。革漉き機でもこのように斜めに仕上がるようになっています。

革の厚み
そしてもう一つ、先日の修理では数多く極小カシメを飾りに打ち付けました。金具をつける時のポイントは、正確に打つ場所を測定すること。
まず穴けの段階で位置が数ミリでも狂えば曲がってしまうのでネンでラインを印付けしておきます。

ネン

その時便利なのが、ダブルになって幅の調整ができるこのネン。革の端に沿わせて好みの幅のラインをつけておくことができるので、これで曲がりませんね。

ネン

道具があるとやはり楽に作業が進みます。この作業をしながら完成できる作品を今必死で考えています。何ができるか…お楽しみです。